前書
製造行為は侵害製品の源であると思われる。製造行為が侵害行為に認定されれば、源から侵害行為を抑制することができるとともに、製造行為を実施した被疑侵害者から損害賠償をもらうこともできる。したがって、特許権侵害紛争において、被疑侵害製品を製造する行為に対する責任追及は、権利者にとって、権利行使のポイントになる。
但し、販売行為の認定は、通常、被疑侵害製品を公証購買すれば良く、比較的に容易であると思われるが、製造行為の証明と認定は複雑である。その原因として、製造行為が工場で行われており、しかも製造者が通常小売をしないため、権利者が証拠を収集することは難しい。また、侵害紛争において、更なる侵害責任を負うことを避けるために、通常、製造者は販売行為のみを認めるが、合法的な出所の抗弁などによりその製造行為を否定する。
現行の特許法には、製造行為の認定基準について明確に規定されていない。本稿では、最高人民法院(以下、「最高院」)の判例を以って、司法実践から特許権侵害紛争での製造行為の認定に考慮すべき事実と要素を紹介する。
判例分析
判例1
沈陽中鉄安全設備有限責任公司と、哈尔濱鉄路局減速頂調速系統研究中心(以下、哈鉄減速頂中心)、寧波中鉄安全設備製造有限公司(以下、寧波中鉄公司)との実用新案権侵害紛争の再審案【(2017)最高法民再122号】において、哈鉄減速頂中心と寧波中鉄公司が、寧波中鉄公司より型番が「tdj-205」の減速機を製造して哈鉄減速頂中心よりその製造した減速機を販売するという減速機供給契約を締結した。最高院は、「哈鉄減速頂中心が物理上で製造行為を実施しなかったが、寧波中鉄公司の製造行為をコントロールしている事実、及び、最終製品に哈鉄減速頂中心の専属製品の型番と会社名が付いている事実により、哈鉄減速頂中心が本件被疑侵害製品の販売者のみならず、製造者でもあると認定すべきである」という意見を述べた。