資源エネルギー業界は、他の業界に比べて贈収賄リスクが高い業界であると一般に言われている。これには種々な要因があるが、資源エネルギー事業が国を跨いで行われる場合が多いことや、先進国に比して贈収賄の発生リスクが高い新興国・途上国におけるプロジェクトが多いこと、さらにはプロジェクトの開発そのものに莫大な費用を要することなどが要因として挙げられる。特に昨今の、高度な企業統治及び法令の遵守が求められる事業環境においては、かような贈収賄の発生リスクを正確に理解しておくことは極めて重要である。
米国の外国贈収賄防止法(FCPA)が1977年に施行されたものであるのに対して、英国の反贈収賄法(Bribery
Act
2010)は比較的新しい法令であるが、FCPAよりも広い範囲の贈収賄行為に対して適用され、現時点で存在する類似法令の中では最も厳しい法制と言われている。本ニューズレターでは、英国の反贈収賄法の概要と、それが日本企業の活動に対して及ぼす影響について解説する。
英国の贈収賄規制の概要について
英国の反贈収賄法における犯罪の構成要件は、以下の4種類に分かれている。すなわち、①贈収賄行為を未然に防ぐべき責務を怠った企業による犯罪(Corporate
Offence。以下「企業犯罪」という。)、②「能動的」な贈収賄すなわち贈賄の罪(active
bribery)、③「受動的」な贈収賄すなわち収賄の罪(passive
bribery)、及び④外国公務員に対する贈賄の罪(bribery
of a foreign public
official)である(総称して以下「贈収賄罪」という。)。