前書き
如何に技術案が解決しようとする技術課題を認定するか?技術課題に対する認定に齟齬がある場合、進歩性判断に如何なる影響を及ぼすか?
進歩性判断の「三ステップ法」において、先ず、当該出願の技術案における「区別技術的特徴」(相違点)を確定し、そして、その区別技術的特徴が当業者にとって「明らかで容易に想到できる」か否かを判断する。引用文献には、当該出願と同じ技術課題を解決する技術案が開示されているので、当業者がこの引用文献から当該出願の技術案の技術示唆を得られる場合、当該出願の技術案が「明らかで容易に想到できる」ことに該当し、進歩性を有していない。
但し、当該出願と引用文献の技術案が解決する技術課題に対する認定に齟齬がある場合、進歩性に対する判断も齟齬が生じる。
事例
本願に係わる技術案:基準排出量により基準ガス排出信号を作成し、基準ガス排出信号に排出量オフセット信号を加え、排出量を調整した後の調整後排出信号を得て、そして調整後排出信号によりガスを排出する。
引用文献1には、基準排出量により基準ガス排出信号を作成し、また基準ガス排出信号によりガスを排出する技術案が開示されている。
引用文献2に無線信号の強度を調整する方法が開示されている。具体的には、第一信号の送信パワーにオフセットを加え、調整後の第2信号の送信パワーを取得する。
審査官甲は、本願の技術案と引用文献を読み込んだ後、以下の見解を述べた。引用文献1に、基準は排出量により基準ガス排出信号を作成する技術案が開示されており、また引用文献2に、信号にオフセットを加える技術案が開示されているため、引用文献2の技術的特徴と引用文献1の技術案とを組合わせれば、即ち、引用文献2の技術的特徴により引用文献1の基準ガス排出信号にオフセットを加えれば、本願の技術案を得ることができる。